引用元:ぱれっと公式HP
評価: B
物語は始まったけど、最初の山場かと思ったら終了
■作品の基本情報 (敬称略)
発売:2017年4月28日
メーカー:ぱれっと
シナリオ:かずきふみ
原画:和泉つばす
■キャスト(敬称略)
九條 都・・・・・・・澤田なつ
新海 天・・・・・・・沢澤砂羽
香坂 春風・・・・・・渚しろな
結城 希亜・・・・・・夏和小
新海 翔・・・・・・・寺竹順
9-nine-シリーズの第一弾(EP1)になります。
当時からして業界の衰退は加速していた時期で、フルプライスで出すにはメーカーとしてのリスク的にもライターの負担的にも厳しいものがあるのかなぁなどと勝手に裏事情を想像したくなるような形態で発売された本作。
第四弾発売を目前にした執筆時点の今でこそ、このシリーズはよくできてるなと思えますが、当時はこの価格帯でどれだけのものが出せるのかという不安は拭いきれず。。
好きなライター・原画だし、もし期待を大きく下回るものでもお布施になればいいかなと思って購入しました。
結果、よくできているし価格の割にボリュームあっていいんだけど、え?これでおわり?ってところで盛大な肩すかしを喰らった感は否めません。
シナリオも演出もしっかりしているだけに、その落差は激しく次作への引きという意味では第一弾の役割は十分に果たしたのでしょう、メーカー的には。
ただし、ユーザー的には発売当時は次作がいつなのか、そもそも出るかどうかも分からない中でのこの終わりはかなりショックを受けました。
それもあって、本作単体として評価するべきか後のシリーズありきで評価をするべきかは今も悩んでいます
シリーズが続いている今となっては非常によくできたやり方だったと思うので、この記事を読んで9-nine-シリーズに手を出そうと思っている方がおりましたら、まずは本作を手に取ってみて、先が気になったあなたはその後すかさず第二弾以降も購入しましょう(笑)
ここからはネタバレを極力しないように感想を。
■シナリオ
本作は、いわゆる異能をある日手にした少年少女が、同じく異能で起きたであろう事件を解決するべく自分たちの生活圏内で奔走し、ついでに恋もしちゃうという、なんともうらやましい学園生達(※)の物語です。 ※登場人物は全て18歳以上です。
シリーズものの第一弾ということもあり、本作では起承転結の「起」でほとんど終るんですが、そこはかずきふみ先生の巧みな文章で飽きさせることなく、舞台・キャラクター・異能についての紹介が自然な流れでなされていきます。
異能バトルものが大好きな方々が注意しなければいけないのは、本作(EP1)内では「異能の応酬でバトル」のような熱血展開は(ほぼ)ありません。
前述の通りこれからってところでその辺りは終わってしまうのです。
だったら本作は何を楽しめというのかといえば、私が激しく推したいのは、ヒロイン・都と主人公・翔の初々しい恋です!! Loveです!!!
ボリュームの関係もあり、出会った二人がすったもんだして長く育まれた気持ちがついには実を結ぶ、というようなことではありませんが、短いながらもアレコレあった二人が気持ちを伝えあうシーンは、まさに等身大の学園生(?) という感じがして萌えます!悶えます!!
普段はセリフを読んだらスキップしがちな方も、この場面は全てのセリフを聞いてもらいたい。三転リーダで表現される息遣いまで声優さんの素晴らしい演技が堪能できること請け合いです。
また、この場面で流れているBGM「OP曲ReAliZe のピアノバージョン」がいいんですよ。
はぁ~、なんで自分の人生にはこんな甘酸っぱい思い出ないのにこんなに熱く語ってんだろ….
まぁ、個人的シナリオの山場は上記と上記を踏まえたイチャイチャですね。
異能で起きた事件?そんなものはなかった。
■CG
一部主人公が写る場面であえて目を消す書き方なのは個人的には好きじゃないんですけど、その他クオリティは素晴らしいと思います。みゃーこ先輩最高。
■キャラクター
翔はぶっきらぼうだけど男気あるし、妹・天(そら)とのやり取りは仲のいい兄弟感出ていてGood!
なにより本作はヒロイン・都の可愛らしさが素晴らしく堪能できるのでそれを楽しんでください。
沙月ちゃん先生はすごく好きなタイプなんですが、まぁシリーズ通して過度な期待(主にエロス方面)は禁物ですかね。
■エロス
物語上の積み上げや都のキャラクーを踏まえて見ればいいと思います。
都自体がエロキャラということではないので、エロの絶対値 (なんだそれ) で見ればそうでもないかもしれませんが、あの都が!という思いを強くすることでより一層エロく感じることができるはずです!
尚、全シーンアニメーションしているのはすきずきかと。
また、翔のエロシーンボイスはデフォルトOFFですが、ONにできます。セリフ自体極力減らしてはいるでしょうけど。
■ボリューム
対価格でいえば満足できる量ではあります。お金を稼がなきゃしょうがないのはわかるけど、FDでその価格でこのボリューム?と首をかしげたくなる他メーカーは見習ってほしいほど。
ただし、あくまで対価格でのボリュームという点には注意。
■クオリティ
セリフ開始時のキャラクターの感情エフェクトやら、エロスシーンのアニメーションやら演出は頑張っていると思う。ただ個人的にはセリフの途中でも、あまりに表情とセリフに乖離があれば表情は変化してほしいところ。
また、上記の感情エフェクトの弊害か、セリフを読み終わった後にクリックしていると処理待ちなのかセリフ送りが停止して引っかかるような挙動があったのはマイナス点。
気になったのはそれくらいで全体的には問題なく、価格を抜きにしても高水準ではあると思います。
■本作品のBKS (ベスト聞いてほしいセリフ)
1位.都×翔:告白シーン全般
2位.翔:恥ずかしさを秘めた絶叫
3位.沙月ちゃん:さよなら〇〇さん ( とその流れ )