創作彼女の恋愛公式

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評価:C+
それでいいのかクリエイターの矜持

■作品の基本情報 (敬称略)
発売:2021年11月26日
メーカー:Aino+Links
シナリオ:工藤啓介
原画:有葉

■キャスト(敬称略)
彩瀬 逢桜・・・・・・・・明羽杏子
月見坂 桐葉・・・・・・・夏峰いろは
凪間 ゆめみ・・・・・・・くすはらゆい
雪妃 エレナ・・・・・・・葉月ひかり

Twitterのタイムラインにどこからともなく流れてきていたので、作品名自体は大分前からちらほら見かけていた気がするんですが、何故かはわかりませんがソシャゲだと思い込んでいたためスルーしていた本作。PCゲームだと気づいた時には発売まで一ヶ月を切っておりました。
遅ればせながらようやく公式HP等での情報収集を開始したわけですが、少なくとも雰囲気は良さそうですよこれ!
それは有葉先生の描く魅力的なキャラクターと美麗なCGであったり、ヒロイン及び脇を固めるサブキャラの声優陣であったり、単独シナリオライターであったりからの印象でした。
まぁ単独ライターではあるのですが、工藤先生の作品に触れたことがないというのが懸念といえば懸念でした。過去にも、そして今までレビュー記事を挙げた作品にも同様の懸念にぶちあたることはありましたが、共通してやれることはライターさんの過去作品の評判をなんとなく見ることだけです。実際この方法をとっても明らかすぎる地雷であれば回避できる場合もありますが、だいたいの場合においてなんの参考にもならない場合がほとんどなんですけどね。結局は他の人の評価と自分が抱く感想は別物なので。。
というわけで、工藤先生が携わっていた作品にはウソシリーズがあったというただそれだけの情報を仕入れ、いつものように体験版をプレイせずに予約しました。
作品に気づいたのが遅すぎたので、豪華限定版のテレカ特典付きが軒並み売り切れているという悲しみの中、テレカを諦められなかったので豪華限定版と通常版の両方を購入させていただきました、はい。

大分前振りが長くなってしまいましたので、このまま作品内容には触れずにいつもの感想いきたいと思いますが、重要なネタバレを含みますので見たくないかたはブラウザバックなりで自己防衛していただきますようお願いします。



■シナリオ
途中で苦痛になってギブアップしたということもなく、2日くらいで全ルートを完走まで駆け抜けました。学園の入学から卒業?までの3年という長いスパンで描く作品というのは割と少数派な部類なのでそこは挑戦的でよいと思いました。ただまぁ、それが活きているのかと問われるとう~ん、、という感じはあります。学園という大人数が一堂に会する舞台と期間の割にキャラクター紹介にあるキャラクターくらいしかでてきませんし、絡みもない、学園イベントが頻繁に起こるわけでもないので作品内の学園生活を感じることはありません。いや、物語自体が悪いってことでもないと思いますけど、惹きつけられるものがあったかというと、、、言葉に詰まるというのが正直なところです。

そして、少し時間を空けて思い返すと、思った以上に癖がないようで癖があるというか、ギャグなのかシリアスなのかわからないというか、テーマみたいなのがあるようでないというか、何とも言い難いシナリオ・テキストだったような気がします。

まずひとつ、先に出していた情報を後で否定・ひっくり返すような展開が目に付いた。逢桜が手紙を書かなかった返さなかった理由が、忙しくなって返しそびれてたらずるずるいっちゃって、みたいなこと言っていて大事な人に対してそんなことあるか?と思っていたら、ルートに入ったら実は、、とか言い出したり。姫ちゃんの作品のヒロインを演じることになった桐葉に関して、姫ちゃんはキャストに口出す権利はなかったとかいいつつ、桐葉にダメ出しする理由がお前を選んだ意味がないとか言い出して、言ってること違うじゃんとか思ったら、実は姫ちゃんの指名でしたみたいなさ。それら矛盾に対して主人公がアクションを起こせば話はわかりますけど、主人公がその矛盾をスルーするからプレイヤーの考えと乖離するし何らかの伏線だったとしても現実味というか説得力がなくて白けます。

次に気になったこと。作中随所でこれは創作の中のできごとじゃない現実なんだと言って、ラブコメでよくあるいわゆる「え?なんだって?( 難聴 )」を許さないような描写が強調されあたかもリアル路線のようなこと書いてますけど、難聴以外は創作内でしか起きないことのオンパレードで、シュール系のギャグなのかライターはリアルな話を書いているつもりなのかさっぱりわかりません。ギャグならつまらないし、リアルを書いているつもりならちょっと何言っているかわからないしなので、第3の答えがあってほしいと願わずにはいられません。

そしてこれが一番気になったというか、もうこれ茶番にしか見えなくなってしまったこと。
本作は創作に関わる少年少女の物語でクリエイターという言葉がそこかしこに出てきてはその生き様が描かれています。特にグランドルートともいえる逢桜ルートでは、そのクリエイターの矜持を優先するがあまり、逢桜は成功率は低いとはいえ手術すれば助かる可能性すら後に回し、命すら顧みない覚悟で病に蝕まれた体をおして作品作りを優先します。その魂を賭けるような激しい創作活動こそが体に負担をかけ命を縮めていると知っても。寿季も逢桜のその覚悟を理解し、それこそがクリエイターなのだと二人で作品作りに取り組むわけです。そんな先の見えない状況ではありつつも、二人は互いを想い合う気持ちに気づき結ばれるわけですが、逢桜の命は近く燃え尽きようとしています。それでも二人はわずかな可能性に賭けるための手術を後に回し、作品作りをやめることはしない。それこそがクリエイターなのだと。
作品作りに懸ける熱い想いが伝わってくるいい展開なんです。この後がなければ。

これだけ、こ・れ・だ・け命よりも創作こそが大事なんだそれがなくなったらクリエイターじゃないんだと大見得切っている彼らがですよ?いよいよ体調も悪化しペンも持つなと言われた逢桜を病院から連れ出し逃避してまで作品作りをしようとした彼らが、何をしたと思います?
逃避した先で作品作り、夜になったら朝になるまで一晩中セックス!!!
しかも逢桜に負担をかけることが喜びなんだと言わんばかりに射精後に口につっこんで都度お掃除させる始末!!

キミ達の矜持の優先度はどうなっているの?

その後なんやかんやで病院に戻り完成間近まできたものの、いよいよ手も動かなくなった逢桜に寄り添い背中を合わせて座り、彼女が紡ぐ言葉を寿季がタイピングして命が尽きる寸前で完成に漕ぎつける感動のクライマックスがありますけど、あんなことやってるようじゃ感動なんてあったもんじゃないです。

どんな状況に立たされても、他ヒロインと同様のエッチシーンを挟まないと気が済まないのがこの作品の矜持ですか?

■CG
公式HP見た時から思っていた通り、美麗CG取り揃えてあります。私の大好きな全裸ピロートークCGも2キャラ分があって非常に良きです。もうひとつ好きなCGパターンであるキスシーンもあるにはあるんですが、やっぱりマウストゥマウスのキスシーンって難しいんでしょうね。駅のホームの逢桜とのシーンはちょっと遠目ですが好きな構図で非常にたすかるんですが、もっと寄りで描いている口の部分がはっきりわかる場面だとなんかちょっと不自然に見えてしまうのはしょうがないのかなと。
まぁそんなことは些細な問題で綺麗なCG多いので大満足です。個人的におすすめなのは、逢桜が一人で立っている昼の虹をバックにしたCGです。私が個人的に逢桜大好きになっているのもありますけど、背景といい立ち方といい表情といいとても素敵な1枚になっているのではないかと。
そしてもう1枚ピックアップしますが、ゆめみと縁側で花火をみるCGは声優がくすはらゆいさんで金髪キャラということもあって、すっごいデジャブに襲われるのは私だけ?これはオマージュなのか、たまたまなのか、突っ込んじゃいけないのかわからないCGだったんですが、おもわず月の彼方で逢いたくなりました。

良かったところとかお気に入りはそんな感じなのですが、今度は反対にあまりよく思わなかった部分について。これも真面目にやってこれなのか、あえてそうしているのかわからないんですけど、少し引き目で書いてある時のキャラクターが雑なことが多いというか急にバランスがおかしく見えるのはなんなんでしょう。特に寿季。
急に体の線が細くなるし、顔もシーンによって違ったり、キャラクターがおもちゃっぽくなったり、すっごく気になってしまうんですが、、、
もしも手抜きでこうなってしまっているのなら、残念です。

キャラクター
作品内時間がわりと長い期間で描かれていることもあり、サブキャラの方々もかなりのシーンで活躍していて、特に女性陣は全員ルートが欲しいほどには印象に残ります。立ち絵があるサブキャラ女性陣は1名を除いて全員胸がでかいのが素晴らしいのは言わずもがなです。
そして、サブキャラのはずなのにある意味他ヒロインより物語があるのが結菜です。結菜にルートがないのはおかしいだろといいたくなるくらい寿季との関係が描かれます。正直ポッとでのエレナ先輩よりよほど関係は深いと思うのにルートがないのは何故なんだと本作をプレイしたユーザーの半数以上が思ったことでしょう。さらにもう一人、3年間クラスメイトで出会いから突っかかってきて寿季に対して好意ではなくても何かしら強い想いを持っている、かつ作中”最胸”を誇る紫音に何故にルートがないんだと。
この二人はFDがあってほしいくらいですし、ちなみと芽衣も個人的に推したいです。理由は単純でほんわか系巨乳キャラが好きだから!それだけなんですが。
本作では今後アペンドの配信もあるようなので、是非ともサブキャラたちとイチャイチャするだけのアペンドをよろしくお願いいたします。

ここからはメインヒロイン達の感想をキャラ毎にいきたいと思います。

◇逢桜
2回くらいこれ名前なんて読むんだっけと確認してしまったヒロイン。CV. 明羽杏子さんの声と演技が素晴らしく、存在感がまさにメインヒロインという風格がありました。普段の凛とした声も好きですが、そこに恥じらいが混じった時の声が最高に可愛くてツボです。折角可愛く意思の強いヒロインでしたが、シナリオの都合で悲しい最期を迎えたことには虚しさを覚えます。明羽杏子さんには今後も注目していきたいと思ったんですが、今後もPCゲームの作品には出続けてくれると嬉しいです。

◇桐葉
もう一人のメインヒロインのような立ち位置。見方によっては逢桜よりよっぽど優遇されていて本当はあなたがセンターヒロインなの?と聞きたくなる人。ストイックで一見他人にも自分にも厳しそうに見えて、やっぱり厳しくなりきれないところが可愛い。素はぶっきらぼうな感じの声で、いい雰囲気になってもそのぶっきらぼうさを崩しすぎないバランスが良き。最後の最後で甘い声をだした時には全米が歓喜すること間違いなし。でもエピローグで急に公式がどうとか言い出した時の違和感凄い。

◇ゆめみ
いつものくすはらゆいさんキャラ( 微ロリ )といえば何となく伝わると思う。こう書いてからくすはらゆいさんが過去に演じたキャラを並べると、特別いつも同じということはないはずなのに、いつもので通じそうな気がしてならない。
秋野花さんもそうなんですが、出演作品減らしてきているのかお見掛けすることが少なくなっているような気がして寂しいです。
ゆめみの感想に話しを戻しますと、周りがやたらクリエイターは創作が全てのようなキャラばっかりなので、創作する理由が逃避や他人にあってくれて安心できる一服の清涼剤。

◇エレナ
どんな時も自分の道を突き進んでくれる、逢桜と並んで本作最推しキャラツートップの一角。他ヒロインのルートに進んだ時に笑って祝福するようなことはせず、いつまでも寿季を待ち続ける宣言をしてくれる人間味溢れてるようなどこかぶっこわれているような自由な人。だがそれがいい。
ヒロイン勢では一番胸が大きくてエロスに積極的なのもポイント。というかそれが推しの理由の8割。

◇寿季
CGで見る限り体幹ヒョロヒョロでオタク呼ばわりされている元野球部・現帰宅部で、バッティングセンターで130kmが打ち返せる人。命より優先するクリエイターの矜持よりも一晩の快楽を優先する常人には理解できない精神性の持ち主。

■エロス
各ヒロイン3回ずつです。過去のレビューでも何度か出ているエロさも何もあったものじゃないテンプレートエロシーン & 不自然かつ低クオリティすぎる無限発射編がここでも登場です。
なんなの?流行ってるの?
本作各ヒロイン3回目のシーンでは全員が昼から夜までとか夜から朝までの長時間で何回も射精するシーンが入ってきます。そして発射する度に口に突っ込んでのお掃除カットインが差し込まれ、基本着ているものはそのままでも周りにはティッシュが増えるだけのお粗末表現に、最後は渾身のレイプ目。
もうね、本当にこれでいいと思って出してます?と思わずにはいられないくらいには酷いシーンです。私自身複数回でドロドロになるまでっていうシーンは大好きなんですけど、なんでそれを全員テンプレートのごとく同じ展開でやって、しかも姿勢も変わらなければ服も脱がない周りにティッシュが増えるだけとかいう適当な表現にするわけ?朝になるまでやって服のはだけ方も体勢も微動だにしないとかありえないから。ゆめみに至っては壁に手をついて片足上げた体勢ですよ?修行かよ。

おかしい表現は他にもあります。エレナの最初のシーン。本作にアニメーションはないのでCGだけで動いている表現をさせたかったのでしょう。その心意気自体はいいと思います。でもアレはどうみてもおかしいですよね?背景もエレナの体の位置も寿季の位置も変わらずに、エレナの足だけが屈伸をするとかギャグですか?スタッフはこれ見ておかしいと誰も思わず、誰も直しましょうとは言わなかったんですか?おかしいと思わないなら感性がおかしいし、気づいたのに変えることもできない現場なら解散したほうがいいと思いますよ。( ド辛辣 )
この二つのインパクトが強すぎて、なんかもう、なんかもうって感じです。

■ボリューム
共通9時間、各ルートが1時間から1時間30分。構成としては共通では各ヒロインにスポットを当て第何話みたいに区切って毎回エンディンを挟むアニメっぽい形式でヒロイン毎に2周するので4×2で8話まで。その後各ヒロインルートに入って2話の1ルート10話で構成されます。共通がやたら長いのは学園入学から2年の終わりまでが共通なのでわかるんですが、正直共通5話から8話はダレます。

クオリティ
まずは機能面からですが、基本的に私が欲しい最低限の機能は揃っていたと思います。
バックログからのシーンジャンプはロード時点からでも過去に遡れるのは地味に嬉しい機能ですし、リップシンクありでかつセリフ途中の表情変化ありなんですが、セリフ横のサブウィンドウでもリップシンクしているのは先日プレイした思い出抱えてアイにコイ!とは違うところ。キーコンフィグではメッセージウィンドウの消去を割り当て変更できるのも◎。そして個別のボイス設定でテスト音声が専用ボイスが流れるのはこだわりがあって好印象です。
立ち絵鑑賞画面がないのが寂しいですが、豪華限定版には設定資料集がついているのでそちらで代用できます。設定資料集にはライター・原画家・アートディレクター等のインタビューがあるので興味ある方は豪華限定版をお求めください。そして豪華限定版には作中に登場した逢桜の万年筆をイメージしたものが付属するのですが、万年筆を持っていない私にはこれの出来がいいのかはちょっとわかりませんでした。 ( ゲームの箱を開けたら透明な袋に入ってポンと置いてあるのはちょっとびっくり )
また、本作はDMMのダウンロードコードが付属しますのでディスク不要でインストール & DMMの購入済み作品にできるのは嬉しいポイント。

う~ん、、作り自体は悪くないですし、ビジュアル面では相当力が入っているように見えたんですけど、いかんせん最後の最後でシナリオがあぁだと全てを覆されたような気分です。

色んなクリエイターの矜持に触れてみたい人、学園生活の3年という長いスパンの物語を体験してみたい人、CV.明羽杏子さんの凛々しくも可愛い声のファンの人はプレイしてみてはいかがでしょうか。

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