同級生リメイク

引用元:FANZA GAMES

評価:C+
古き良きアドベンチャーゲーム

■作品の基本情報 (敬称略)
発売:2021年2月29日
メーカー:FANZA GAMES
シナリオ:ー
原画:すめらぎ琥珀

■キャスト(敬称略)
桜木 舞・・・・・・・・・橘まお
田中 美沙・・・・・・・・猫村ゆき
黒川 さとみ・・・・・・・蒼乃むすび
鈴木 美穂・・・・・・・・小波すず
仁科 くるみ・・・・・・・北大路ゆき
斎藤 亜子・・・・・・・・柚原みう
斎藤 真子・・・・・・・・風音
佐久間 ちはる・・・・・・藤崎紗矢香
草薙 やよい・・・・・・・手塚りょうこ
田町 ひろみ・・・・・・・白月かなめ
正樹 夏子・・・・・・・・歩サラ
芹沢 よしこ・・・・・・・夏峰いろは
成瀬 かおり・・・・・・・水野七海
真行司 麗子・・・・・・・御苑生メイ

期待作が多かった2021年2月発売作品の一つ目はこれ、「同級生 リメイク」です。
このリメイクは業界でもかなりのニュースとなったのではないでしょうか?
かくいう私もこのニュースを見たときは大層驚くとともに、非常に楽しみに思いました。
とは言ったものの、過去の美少女ゲームの名作として語り継がれている本作ですが、実は私は当時の作品をプレイしたことがございません。同じくelfの作品である「下級生」のみコンシューマ版で触れたことがあったのですが同級生には触る機会もなく、なんとなくは知っているけどストーリーについては未経験と言ってよい状態でした。
今回のリメイクは、立ち絵やCGの原画変更とマップやUI変更、フルHD対応といった見た目に関する部分が主で、シナリオについては2020年現在の倫理観に合わせた調整程度に止まっています。また、声優さんも新規メンバーであてられています。( 色々な媒体で出ていて、何パターンかあります )
名作のリメイクで出てくる問題と言えば、オリジナル作品のファンの反発があるかと思います。前述の通り、私はオリジナル作品をプレイしたことがなく、リメイク版を担当されるすめらぎ琥珀先生の絵柄が好きだったこともあり、リメイク部分の抵抗は皆無などころかむしろ良いと思っていたのですが、やはりオリジナル作品を愛している人たちの間では少々反発もあったようです。( 竹井正樹先生の絵も好きです、念のため ) ただ、オリジナルが30年近く前ということもあってか、どちらかというとリメイクに対して好意的な意見が多かったように思います。

そんな中、私が個人的に注目していたのは、担当される声優さんの顔ぶれです。
この業界に限らず、声優さんの世代交代ってゆるやかなイメージを持っているのですが、今回この同級生リメイクに携わっていらっしゃる声優さんが、経験豊富な方・そろそろ中堅からベテランが見えてきた方・ここ2年くらいで出演作も増えてきた新しい世代、といった具合である程度人数を揃えていたことです。2021年現在の主流の形式だとヒロインは多くて4、5人の為、ここまでバラエティーに富んだメンバーが揃うことはなく、本作で一堂に会したこのメンバーが同じ作品の中でそれぞれヒロインをどう演じるのか、そのヒロイン達を見た時にどのキャラクターが好きになるのか非常に楽しみでした。
もちろんテキストや設定的なキャラクターの根幹はありますが、それを含めて自分が惹かれるのはどの声優さんのどういうキャラクターでどういう演技や声なのかわくわくしました。

それではいつもの通り感想に行きたいと思います。今回はストーリー的なネタバレはあまりないとは思いますが、少しでもネタバレが気になる方はブラウザバック等してください。

シナリオ
ご存じの方であればおわかりかと思いますが、本作は紙芝居的にお話を見ていく中で共通ルートがあって選択肢で分岐という形式ではなく、箱庭的なマップ内を行ったり来たりしてお目当てのヒロインと出会いイベントを回収していく形であり、好きなヒロインのイベントを進め好感度を上昇させてエンディングを目指す能動的な移動等のアクションが必要な、よりゲーム的な作品です。そのため、シナリオという括りは各ヒロイン毎に最初から終わりまで通してみた時に一つのシナリオと言えなくもないですが、すべてのイベントを回収しなければならないということもなく、必須イベント以外はスルーしてもEDを見ることができます。また、ヒロイン毎のイベントが一つの大きなお話として繋がっているかといえば、日常の積み重ねだったりもするので、今回のシナリオ感想は他作品の感想とは若干意味合いが異なるところがあるかもしれません。
なのでいっそのことここには、ゲームシステム的なものもいれてしまおうかと。
まずシナリオというかお話的な部分に言及すると、ヒロインは14人もいますので長さ的なものはそれぞれそこまで長くありません。また、期間も夏休み中の8月だけのお話、かつ舞台は主人公たちが通う学校のある町とその隣にある繁華街と非常にせまい範囲になります。そしてこのゲームのゴールは夏休み最終日に意中の女性に告白をしてOKをもらうことなので、シナリオ的に長いものはございません。
じゃあ何が面白いの?と言われると、能動的に自分で動き、生活に密着した各ヒロインの今を聴き、時には悩みを解決したり、デートをするといった、ひと夏の思い出をつくることではないでしょうか?
ヒロインは14名もいます。性格や立場が様々な彼女たちの日常を追いかけ、または偶然に出会い、会話を重ねることで相手を知り、仲良くなって恋をする。それを自分の意志で選び追いかける点が、現在の多数派である美少女ゲームとの大きな違いであり面白い部分です。そしてヒロインに対して起こせるアクションは何も会話だけではありません。探索モードにすることで状況に応じて、触ったり舐めたりキスをしたりと、欲望のままに自分でやりたいことがやれるのです!! ( 普通のテンション時にはメタ的に主人公に突っ込みを入れられ呆れられることもしばしば )
まぁ、30年前のゲームなので、そこまで自由度高い行動に対する結果が常に変化し続けるということもないですが、仕掛けとしては面白いです。
尚、探索モードはヒロインに対してのみではなく、背景を隅々まで調べることもでき、それに対する主人公の突っ込み・リアクション、そしてモブとのしょうもない会話等もこのゲームの面白さを構成する一部となっています。
ここまで書くと全部自分で追いかけたりするの面倒だなと思う人もいるかもしれませんが、そこはご安心ください。リメイクにあたり各ヒロインのイベントだけを狙って追いかけられるイージーモードも実装されておりますので、一直線に好きなヒロインとのエンディングまで進めます。( 一部他ヒロインのイベント発生が条件の場合もあります )
ただ、個人的には折角このゲームを楽しむのであれば、最初の2,3人はイージーモードを使わずに、思うがままにプレイすることをお勧めします。

■CG
リメイクにあたってすめらぎ琥珀先生が描きおろしているCGはすべてが美しいです。個人的にすめらぎ琥珀先生の描くキャラクターが好きってこともありますが、様々なシチュエーションが素晴らしいCGで表現されているので、クリア後にCGだけを眺めていても楽しめます。また、すめらぎ琥珀先生の描く画で好きなのは、割と写実的なので、立ち絵は可愛いけどCGになると組んでいる手が変とか体の構造どうなってるの?というようなおかしい部分がないように見えるのが嬉しいです。( あくまで素人目線です )
おすすめは私の好きなウェディングドレスシーンで、今回ウェディングドレスを着ているCGが複数ヒロインあります。
尚、冒頭でも少し触れましたが、私は竹井正樹先生の描くキャラクターも好きなのでどちらがよいということではありません。どちらもよいです。

キャラクター
これはちょっと1記事で書くには膨大になりすぎそうなんですよねぇ。。
ヒロインだけでも14人いて、個性ありすぎる男性キャラクターも少々いて、さらには強烈すぎるモブと、言及しだしたら終わらなそうなので特に好きなキャラクターだけピックアップする形にしようかなと。
尚、おすすめモブは先負学園の校庭にいる高跳び中でずっと空中に浮かんでいる女子と、異常者が盛りだくさんの水泳部の面々( セリフ無し ) です。

では、ここから特に好きなキャラクターの紹介を。

◇美沙
活発系ポニーテール少女で喧嘩友達っぽい関係。言葉遣いが少し乱暴っぽいのにCV. 猫村ゆきさんの可愛い声とのギャップが凄い。私服が少年っぽい感じなのに声が可愛いのずるい。クライマックスで女の子になった時の恥ずかしがる感じがやばい。最大瞬間風速が本当に一瞬で通り過ぎるので、もう少し可愛くなった美沙の時間ください。

◇さとみ
主人公の幼馴染。美沙とは違ったタイプの互いのことわかってる感の距離感が好き。CV. 蒼乃むすびさんの可愛くなりすぎず、硬くなりすぎずの声がよき。すっごくいいこなのになんであいつ?っていうね。泣いてるさとみを見た時のあいつに対する怒りが半端ないのでそういう意味での感情の振れ幅も楽しめる。もっと大切にしてあげて。

◇美穂
いそうでいなそうなぎりぎりを攻めてくるロリ系少女。CV. 小波すずさんのギリギリロリ感、甘いけど振り切った甘さまでいかない微妙なロリ感が大好きな人必見。最初から大好きオーラ全開だけど、微妙に攻めてこないもどかしさのもやもやが楽しい。またろうとくっつかれた時の敗北感しゅごい。

◇くるみ
子供っぽいを通り越して完全に子供。CV. 北大路ゆきさんのちょっとわがまま入った子供演技が大好き。公園でボートに乗るシーンはCGも相まってお気に入りシーンの一つ。後半は悲しい感じが続くけど、気持ちの切り替わりが凄すぎて女の子って怖い。一哉の気持ちもわからなくもないけど下手くそすぎるだろ。あと一哉はそのシャツ何とかしろ。

◇亜子
お姉ちゃんに対する半端ないコンプレックスを抱いた自分に自信がなさすぎる女性。割と大人なのに精神的な部分の子供っぽさというか純粋さを CV. 柚原みうさんが凄くうまく表現している。声自体は大人なのに、喋りにこういう要素盛りこめてるのが凄い。好きになったら一直線すぎるある意味重すぎる人。

◇かおり
・・・キャバクラ?

■エロス
これはこのゲームをプレイする上で勘違いしてはいけないことの上位に入りますスケベ。
まず、本作は30年ほど前のゲームのリメイクで、かつ2021年現在主流のよくある美少女ゲームとは全くの別ジャンルです。本作の主たる目的は8月の1ヶ月で好感度を上げたヒロインに夏休み最終日に告白し、そのヒロインと付き合いだしエンディングを迎えることです。もちろんヒロインとの関係を進める上で、「そういう」状況になる場合もありますが、それは全ヒロインに必ずしも共通するものではなく、またそういう行為を恋人同士のようにじっくり複数回するようなものではありません。
つまり、本作をプレイするにあたって何日も前から欲望の発散をセーブし、始める前からわくわくしながらパンツを脱いでティッシュを手の届くところに置くような準備は一旦待ってください。
前述のシナリオのところで、自分で選択してヒロインを舐めたり触ったりできると書いたけれども、一旦ちょっと冷静になってほしい。

はっきり言いましょう。
今あなたが想像するような H scene はありません!!
私が好きなキャラクターだけみても、ちゃんと最後までするのは亜子だけで、美沙とくるみは入れたと思ったらシーンが飛んで事後、さとみは入れるけど途中でやめる、美穂に至ってはやる前に美穂が寝ちゃうというありさま!! Oh My God !!
亜子だってしてはいるけど、シーンに入ったら急に官能小説みたいな地の文が続いて、ズコズコ アンアン ラブラブ チュッチュなんてないんだ!!!

・・・とりあえず、パンツ履けよ。

■ボリューム
どこまでやるか、どうやるかで大分変ります。イージーモードを使って、背景とかほとんど調べないのであれば、おそらく数時間で終わると思います。
私は1週目はイージーモードには頼らず、時間も飛ばさず、ある程度広めにヒロインを追いかけつつ、各場面ではそれなりに背景を調べながら進めましたが、それで8時間かかって亜子さんエンディング。2週目からはイージーモードを使いつつ、複数ヒロイン同時進行で最終日まで7時間前後。そこから最終日でヒロイン別にエンディングを見た感じです。一部後回しにしたヒロインを回収して+1時間くらいなので、トータルだと16時間前後でしょうか。
まだ調べてない背景とか、一部ストーリーとは関係ないシーンもありますので、イージーモードを使わずにやりこんだら相当時間かかると思います。

■クオリティ
まずは基本的なところで、コンフィグ周りでは基本的に必要なものは揃っていると思います。キャラクター毎の音量設定、バックログからのシーンジャンプはあり、立ち絵鑑賞やボイス登録機能はありません。回想機能ではエンディングを迎えたヒロインのシーン解放機能もあります。
リメイクにあたって、イージーモードをつけたり、マップ上で誰がいるか確認できるようにしたのかは、今の美少女ゲームユーザにとっては大変ありがたいものだと思います。UI も見やすく、使いやすくもしたのでしょう。でも、本当にこれ試しました?
カーソルが勝手に動くのか、会話・探索アイコンの位置が悪いのかわかりませんが、何度か意図せずクイックロード押してしまって無駄にやり直すことがありました。また、探索モードでも口にカーソルを移動すると会話できるため、カーソルが中央に寄っている時に選択肢が出ると、内容見ずに押してしまう時があるなど、ユーザビリティがいいとは思いわない出来だったのはマイナス評価です。
まぁ目くじらを立てるほどでもないとは思いますが、折角の名作のリメイクと話題にもなっていたので細かいところまで気を使ってもらいたいとは思います。
気になったのはそのくらいです。
尚、私は豪華版を購入しましたが、こちらにはオリジナルの方のMSDOS版 ( Windows対応 ) が付属する贅沢仕様。リメイクをプレイしてオリジナルが気になった方には嬉しい特典です。起動時のDOS画面にちょいちょいネタ入っててニヤリとします。

時を超えてリメイクされた懐かしの名作に再開したい方、2021年現在の美少女ゲームの形に飽きがきた方、一堂に会するそうそうたる声優陣の演技を楽しみたい方におすすめの作品です。

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