ユキイロサイン

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評価:B
雪に覆われた町の青春、そしてスヴェ

■作品の基本情報 (敬称略)
発売:2021年3月26日
メーカー:Wonder Fool
シナリオ:冬野どんぶく
原画:うみこ

■キャスト(敬称略)
勿来 美玖・・・・・・・・猫村ゆき
高萩 香子・・・・・・・・実羽ゆうき
スヴェトラーナ・グルチェンコ ・・・・・・・・・・・・北大路ゆき

2021年3月発売作品の感想3作目は、「ユキイロサイン」です。
いや~、Wonder Fool の前作「まおかつ!」の感想みていただければわかりますが、このメーカーの作品には正直全く期待しておりませんでした。企画・シナリオは変わらずで変わったのは原画家さんだけのようですし、初回版は他メーカーと比べても無駄に高いし。( 特典いらない人にとっては)
今回購入の決め手はヒロインのCV.に北大路ゆきさんがいるというただその1点で購入しているので、まぁ前作と同じ結果になったとしてもしょうがないなと。( ただし、今回も駄目だったら次はないとは思ってました。)
そんな不安しかない中、恐る恐る蓋を開けてみたところ、、、良いじゃん!普通に作れるじゃん!!( 謎の上から目線 )。前作はなんであんなに低予算で中身スカスカの作品つくったの?金だけ巻き上げようと思ったの?メーカーとしてはまおかつ以前に2作品出しているようなので、もしかしたらそっちは普通に作っているのかもしれないですけど、それならそれで前作のハズレっぷりがより一層目立ちます。
今回はなんとOP以外にもEDをヒロイン毎に分ける贅沢仕様。・・・逆じゃない?
いや、EDをヒロイン毎につけてもらうのは作品に限らず良いので逆は言い過ぎかもしれませんけど、まおかつ!がアイドルヒロインなんだから、そっちこそヒロイン毎の楽曲があるべきなんじゃないの?
と、ユキイロサインの感想を書くつもりが、あまりにも前作との力の入れ方の違いが目立ったためついついまおかつ!の話をしてしまいがちですが、ここからはいつものようにユキイロサインの感想いってみましょう。

シナリオ
冒頭から期待感高まる各ヒロインの独白が入ってきまして、まだその時点では不安を残しつつだったのですが、それでも「おっ!?」と思う引きがありました。共通は町のことや幼馴染3人の関係やら新しく町にやってきた二人との出会いや仲良くなっていく過程など、説明の羅列にならないように物語を通して丁寧に描かれていきます。この辺りは要所要所を描きつつも全ての出来事を垂れ流しにするでもなく、上手く過去話として触れたりでコンパクトにまとめつつも内容は濃くなっていて、プレイ時間に比して物語の密度は濃く感じました。共通が終わったころには結構遊んだなぁと思ったんですが、3時間ちょっとしか経っていなかったのには少し驚きました。1点気になった部分としては、視点があっちこっちにいくのと、その際チャットの表示も主観人物中心に流れるので一瞬戸惑う人もいそうかなとは思いました。
共通はこれくらいにして今回はルート毎に感想いってみたいと思います。尚、この並びは私的おすすめ攻略順でもあります。

◇香子ルート
ちょっと宗冬の出した答えには同意できないというのが正直なところ。香子に才能があるのは確かにそうだろうし、宗冬自身香子に自分で選んでいいと口では言っているけど、宗冬が香子に相談もしないで支えられるようにと医者を目指すのは結局追い込んでいるだけにしか見えない。まぁ、結局は香子もオリンピック目指すようになるから物語的には大団円なんでしょうけど、私的にはもやもやします。
そして本筋とは言えないんですが大好きなシーンで、付き合いだしたばかりの宗冬と香子が部室で初キスしそうになる時に、「みーちゃったーみーちゃった」で突っ込んでこれるスヴェというキャラクターは最高に愛らしいし、このシーンは本作でも屈指の名シーンだと思います 笑。

◇スヴェルート
思った以上にスヴェの事情がシリアスだったのですが、安易な救いの結末にならなかったのは良かったです。
全編通してヒロインのスヴェが自分( 宗冬 )だけのヒロインになってデレた時の破壊力はとてつもないものに。ご託はいいからとにかくやれ。

◇美玖ルート
美玖ルートであると共に幼馴染3人のルート。他のルートでも美玖と何かあった感を出すので美玖を1番にしてもいいと思うのですが、そうすると他のルートにいけなくなりそうだったので最後に回しました。このルートはオーソドックスと言えばオーソドックスなので、美玖の意地っ張りな部分で存分にもやもやしてからデレる美玖を堪能するのが多分正解です。溜めが割と長いからデレがもうちょっと続くと思ったら一瞬で過ぎ去って広中がヒロインと化すのは笑いどころ。
こういう幼馴染の関係もいいよなぁ。

■CG
全体的にやわらかい印象です。やっぱりスヴェの白い髪がいい意味で目立ちますね。おすすめはスヴェの自転車乗れたシーンのドヤCGです。スヴェは立ち絵のドヤ顔も最高に可愛いんですよね。そして宗冬の鍛えられた全裸は誰得なんだこれ 笑。

あと、CGじゃないですけど、香子に対して意外と着やせするタイプなんだなって感想を宗冬が垂れ流すシーンがあるんですが、あの立ち絵のどこが着やせしているのか小一時間問い詰めたい。

キャラクター
仲良し五人組プラス香子の幼馴染の結が中心です。名前のあるモブも割とキャラが立っているんですが、あまり主張しすぎず、でも存在感はあるという絶妙なポジションにたって中心メンバーの物語を盛り上げています。
メインヒロインは言わずもがななんですが、サブキャラの結は割とお気に入りです。CV. 上原あおいさんで( 表面上は )サバサバしているキャラクターが久しぶりだったので妙にツボにはまりました。内心香子に対してデレデレですが、それをあまり表に出さずちょっと刺々しいくらいなのに溢れ出る大好き感がすごく上手に表現されているので必見です。
メインヒロインではやはりスヴェが頭一つ抜け出してますね。というか共通でも他のヒロインルートでもスヴェはいつでもどこでもヒロインしてます。北大路ゆきさんファンは間違いなく買うべき。スヴェの喜怒哀楽すべてが愛おしく感じますし、ユキイロサインはスヴェの為にあると言っても過言ではありません。


広中がいい奴すぎるけど、実は美玖が好きだったんだろうか・・・。

■エロス
う~ん、、、エッチシーンはちょっと雑に感じましたね。各ヒロインシナリオ内で3回とおまけシーンで1回ずつあるんですが、まぁ話の流れには沿ったシーンになってはいるんですけど、CGがテキストと合ってなかったり、そのシーンでなんでヒロインだけ脱いでいるのかと気になったり、逆になんで主人公全裸やねんとか思ったり。
テキストにしても、ヌキゲーじゃないんだからと言われてしまうとまぁそうなんでしょうけど、それにしたってちょっとあっさりしすぎているようにも感じたというのが率直な感想です。

あと絶頂がワンパターン。演技もテキストも。ディレクションの問題だと思うんですが、テキストが一緒でもせめて演技に変化をつけてもらえればまだ良かったんですけど、全ヒロインが一本調子なんですよね。。。ただ叫ぶんじゃなくてもうちょっと情感出してもらいたかった。

■ボリューム
共通が3時間半、各ヒロインのルートが3時間前後の計13時間くらいかと思います。プレイ時間より不思議と体感では長く感じました。映画を見たような感覚とでも言えばいいのか、みっちり詰まっていた感じはあります。基本的に面白い作品は長いほうが嬉しい私ですが、本作に関してはこれくらいでちょうどよかったなぁと思いました。

クオリティ
まずはコンフィグや機能回りですが、基本的なものは揃っていると思います。あって嬉しい機能としてボイス登録機能がありますので、お気に入りのセリフを保存して繰り返し聞いてみましょう。キャラクター毎の音量テストでメインヒロイン+広中はテスト用ボイスがあります。DMMのダウンロードコードは付属しません。そして気づいた部分では、セリフ中の表情変化が多めで感情表現に一役買っています。
で、それ以外のゲームとしての完成度というかそのあたり見ていきたいんですが、このメーカーの前作「まおかつ!」でも思いましたが、テストが手抜きというかいい加減すぎる気がするんですよね。テキストとボイスがあってなかったり、テキストとCGがあってなかったり。CGや立ち絵の発注も指示を的確に出しているのか怪しいんだよなぁ、、エッチシーンのCGが場面に適しているとは思えなかったり、前述の香子の立ち絵の件にしても。
こういういい加減というかこだわりとか熱意がないように見える部分があると次回作も不安が拭えないから改善する気があるなら直してほしいものです。

最後に不安になるようなことを書きましたがそれを踏まえても、本作で雪国の青春を堪能したい、天真爛漫なスヴェをひたすら愛でたい、北大路ゆきさんが大好きだ、どれかにあてはまる方には是非おススメしたい作品です。

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